ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー「喪失感と向き合う」

月曜日に観に行ってきた。初IMAXだったけど、あんまIMAXの良さがわからなかった。3Dの迫力は伝わってきたんだけどね。

んで、わたしはわりと映画の感想は観た直後にパパッと書いちゃうほうなんだけど、本作はどう書けばいいのかと悩んでしまった。最近のマーベル作品はどういうわけがあんま感想を書こうという気が起こらない。

ちなみに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に至っては感想も書けないし、映画館以降作品を観ること自体できていない。ラストがかなりトラウマになってて。

で、本作ですよ。感想書くの迷ったけど、この作品は初めて観たときどう感じたのかってのを、きちんと残しておきたいと思ったのでなんとか書いています。

がっつりネタバレしているので未見の人は注意してください。

まず冒頭、泣く。体が震えるほど泣いた。映画館じゃなかったらきっと嗚咽漏らしながら泣いてた。頑張って体の震えを抑えながら泣いてたけど、ほんと悲しかった。

マーベルお馴染みのオープニングですよ。チャドウィックの生前のお姿が映し出されて……。スタン・リーが亡くなったときも同じようなオープニングだったアレです。

もうね、どうしても彼の存在を感じてしまうから、あの入り方は「ああ、もうチャドウィックいないんだ……」ってのを改めて現実を見せつけられた気がして感情が爆発しそうだった。

だから物語が始まって、シュリちゃんの「兄を助けたい!」って気持ちが伝わってきたと同時に、「兄を救えなかった」という喪失感も感じ取れて、あのシーンはもうつらい。

そしてワカンダでは葬儀に白色の衣装をまとうの。これは予告編でもあったように、白い衣装を身にまとって踊って楽器を鳴らして亡くなってしまった人を弔うのは、悲しみを払拭できるように感じてとても良かった。

でも一年たってもシュリちゃんはティ・チャラを失った喪失感が消えない。研究に没頭して現実を受け入れようとしない。

そんな中でのタロカン帝国との関係が緊張状態になって、変な羽が生えたネイモアに海の底にシュリちゃんが連れ去られちゃうの。

で、アメリカでのシーンよ、オコエと並んだ姿はめっちゃかっこいい。なにあのスーパーモデルばりの大迫力オーラ。すげーかっこいいしプリンセスったらバイクも華麗に乗りこなすの、もうすてきよ。

オコエがかっこいいのはずっとだけど、今回はシュリちゃんも、そしてラモンダ女王もすっげぇ貫禄があってすてきだった。

女王が他の国から「ヴィブラニウム渡せよ-」って言われてるところで、「お前らんとこの賊がうちの縄張りあらしとんじゃぼけぇ」って感じで言い返すシーン。すっっっごくかっこよかった。

しかもアンジェラさんったらけっこう体バキバキになってたよね。鍛えてたのかしら。このバッキバキに仕上げてた体を見たとき、もしかして女王も戦うのかしらって思っちゃった。

でも女王はリリちゃん(アイアンハート)を守るためにお亡くなりになってしまうの。ここでね、それまで「マザー」って女王を呼んでたシュリちゃんが「ママ!」って言うの。

きっと普段は王族だからって、やっぱちょっとかしこまったりした部分があったんだと思う。でもやっぱお母さんが死んじゃうってときは、お姫様じゃなくてただの娘なんだよね。

もうこのシーンも泣く。なんでシュリちゃんこんなに立て続けに家族を失ってしまうのよ。

そんなシュリちゃんに寄り添おうしているのがあのエムバクさんよ。ゴリラよ。

エムバクさんったら前作でもなんやかんやで良いポジションだったし、エンドゲームでもサノス軍に向かっていくシーンでなにげにキャップの近くにいるんだよね。

この人はね、ちゃっかり良いポジションのお人なのよ。しかも出てくるたびにちゃっかり度合いが高まり、本作ではシュリちゃんに「復讐は何も生まないよ」みたいな言葉をやさしくかけるのですよ、あのエムバクさんが!

でも復讐に取り憑かれてるシュリちゃんの勢いに押されてちっちゃく頷くとこ、あれ確実にエムバクさん「ゥホッ」って言ってたよね。シュリちゃんに圧倒されてちっちゃく「ゥホッ」って頷くエムバクさんがかわいくてかわいくてたまらんわい、むはー。

さらにエムバクさんったら自分たちの居場所にジャバリランドって名付けてるわ! なにその胸がときめくネーミングセンス!

エムバクさんったら出てくるたびにわたしの胸をズッキュン刺激してくるのよ。ゴリラやりおる。

シャバリ族も海の上で頑張ってたよ。ドーラ・ミラージュとタッグ組んでひもで支えてたの。あれかっこよかったぁ。

今回のエムバクさんはけっこう活躍シーンがいっぱいあるうえに、ラストでワカンダの国王になったっぽい描写もあるんだよね。

シュリちゃんがブラックパンサーで、エムバクさんが国王で。これからは二人で支え合ってワカンダをもり立てていくとか、もう胸熱よね。

でもこの二人っていうのはけっこう良いと思う。さすがにオコエとかいても、シュリちゃんだけに国を背負わせてしまうのはやっぱ荷が重いし。

そこへきてのエムバクさんよ。前作ではわりと乱暴な感じだったけど、ちゃんと道義はわきまえてたんだよね。差し出されたハーブを断ったりティ・チャラを助けてたり。

今回は乱暴な雰囲気を抑え気味にして、ラモンダ女王に意見を求められると冷静にネイモアへの対応策を示してたりしてたし。けっこう王様の器あると思う。ま、にんじんシャリシャリ食ってたけど。

でもエムバクさんが国王になった場合、オコエに「my king」って言われるのかしら。それはオコエもちょっと言いづらそうよね。オコエからしたら崇める対象ではなく、仲間のような存在だと思うし。

そうそう、今回オコエったら、シュリちゃんを誘拐された責任を取らされて隊長をクビになっちゃうんだよ。

まあ、そこは仕方ないよね。楽勝な任務とか言いながらリリちゃんもシュリちゃんもさらわれちゃったんだから。

そこでラモンダ女王にガチ切れされて、さすがのオコエも泣いちゃう。女王の迫力すさまじい。

ま、泣いてたオコエもラストは変なスーツ着て復活してたけど。その格好でロスを助けてた。ロスはがっつりストーリーに絡んでたわけでないけど、なんだかんだでワカンダとは腐れ縁的な感じで付き合いが続いていくんだろうなって雰囲気。

しかもロスの元妻があのヴァルよ。『ファルコン&ウィンターソルジャー』と『ブラック・ウィドウ』のラストに出てた人。

このヴァルがこれからニック・フューリーのようなポジションになっていくって、どっかのニュース記事で見た。ということは、ロスもなんやかんやで関わっていくのかな。

そして誘拐されたシュリちゃんを単独で助け出したのがナキアよ。この人わりと能力高いよね。で、ラストで明かされるんだけど、ナキアとティ・チャラに息子がいたの。

この息子ってのが、「わぁ、ティ・チャラに子供がいたんだ」って一瞬うれしい感情が湧きあがったんだけど、亡くなった人の忘れ形見ってのが安直ではなかろうかとか、じゃあ結局この子が(だいぶ先だけど)ブラパンになるの? って、なんかいろいろ考えてしまった。

う~ん、ただねぇ、ハッキリ言っちゃうと、シュリちゃんのプラックパンサーってあんま強そうには見えないのよ。

レティーシャ・ライトが細すぎるってのもあるし、だからネイモアとのタイマンもよく勝ったなって。

シュリちゃんもエンドゲームで戦闘に参加してたくらいだから、ある程度の訓練とかは受けてると思う。いやこれ女性蔑視とかではなく、単純に強そうに見えないだけ。実際オコエとかは女性でも強そうだし。

でもブラパンはシュリちゃんが継ぐのが一番自然だし、それは良いんだけど、もうちょっと存在感というか、厚みというか、何か足りない。

そうなると、やっぱチャドウィックの喪失は大きいよねって話に戻っちゃうんだよね。

どうにかキルモンガー復活できなかったのかなってのも、ちょっと思っちゃう。ま、キルモンガーはシュリちゃんがハーブ飲んだときに出てきてたから確実に前作で息絶えてたらしい。

いや、前作ラストでお亡くなりになってるんだろうとは思ったけど、そこはほら、あやふやにして復活とか……、無理か。

復讐に取り憑かれたシュリちゃんの前に出てきたのがキルモンガーってのがね。しかもシュリちゃんのブラパンスーツがキルモンガー仕様のほうなのよ。シュリちゃんはなんでキルモンガーのほう選んだんだろ。似合ってたけど。

ま、最終的にラモンダ王女に諭されてネイモアにトドメをささなかったから、シュリちゃんは復讐を思いとどまったということ。

これ次作あれば、キルモンガーさらに出てくるとかってないかな。キルモンガーはけっこう良いキャラだからワンチャン期待してしまう。

本作はチャドウィックへの喪失感と向き合うための映画だと思う。実際スタッフとかキャスト、それにファンもチャドウィックがいないことに向き合えたんじゃないかな。ってか、向き合わざる得ないよね。まざまざと見せつけられるんだもの。

ラストでチャドウィックのアーカイブ映像が流れるのも涙ジョボジョボなるわ。

受け止められるかどうかは人それぞれだけど、一旦の区切りにはなったはず。そういう意味では、すっっごくすてきな作品でした。

ワカンダフォーエバー!!!!