キングダム・オブ・ヘブンの感想「ワンコと助手も思い出してー」

スケールがデカ過ぎて一回観ただけではよくわからなかったので、続けて二回鑑賞しました。その結果、ますます感想が書きづらくなり、もう何がなんだかよくわからない状態になっております。ざっとした印象だと、オーリーがずっとボーっとしてました。そして冒頭の音楽が志方あきこっぽかったです。
相変わらずオーリー目当てに観たのですが、オーランド・ブルーム演じる鍛冶屋のバリアンに魅力がヒトカケラもありませんでした。Amazonプライムの評価でも真っ二つに分かれており、こういう感じがリドリー・スコットなのかなって感じがしたけど、そもそもリドリー・スコットあんまり知らないからよくわかんない。
ただ物語の進行にも問題があったようです。レビューでも酷評されていたように、この映画は劇場公開版とディレクターズカット版では全く違う物語となっています。


まず、劇場版はエヴァ・グリーン演じるシビラ女王の子供のシーンが全カットとなっているようなので、それだと全く話が変わってくるだろうなと思います。
なんつーか、バリアンってばずーっとボーッとしてたのですよ。妻と子供なくして悲しむ→突然現れた親父に君の母さんとは合意だったとか生々しく告白される→ムカつく弟ぶち殺して親父の後を追いかける→こんな感じで激動の波に揉まれまくっていますが、バリアンはボーッとしながら「神の声が聞こえなーい」とかいってます。
物語は壮大だし、脇を固める俳優陣はとても素晴らしいのですが、主役のバリアンに魅力がなかったのでなんだかなーって感じでしたね。この映画は2005年に公開されているので、2004年公開のトロイの次の年です。トロイではへたれKY王子が嵌っていたけれど、今回はなんでもできてカリスマ性を発揮する役だったのですが、いうセリフがすべて誰かの受け売りだったのね。
サラセン軍がエルサレムに乗り込んできたときのスピーチは親父の受け売りだし、明け渡しが決まったときにシビラ女王にへのセリフはザ・ホスピタラー(デヴィッド・シューリス)にいわれたことまんまだし。
ただね、脇役が本当に素晴らしかった。バリアンの親父にリーアム・ニーソン、ティベリウス卿にジェレミー・アイアンズ、ボードゥアン4世にエドワード・ノートン、ザ・ホスピタラーにデヴィッド・シューリス。
ルノー・ド・シャティヨンにブレンダン・グリーソン、ギー・ド・リュジニャンにマートン・チョーカシュ、サラディンにハッサン・マスードと。とくにルノーがよかったわ。「自分クズっすから」って自分の立ち位置や役割をしっかり把握していた感じが素敵。しかもキャラクターも可愛かったし。
牢屋に入れられて「ルノー・ド・シャティヨン!」って叫び続けて牢番にうざがられているシーンとかめっちゃ可愛い。そしてギーが迎えに来たときも、妙にウキウキしながら行進のような歩き方してたとこもキュート。
ルノー役のブレンダン・グリーソンはトロイのメネラウスなんだよね。トロイではオーランドに妻寝取られてたけど、本作ではとくに絡みなしです。そしてギー役のマートン・チョーカシュってば「ロード・オブ・ザ・リング」のケレボルンなんだね。全くわからなかった。ロードではガラ様の影に隠れて薄い印象でしたが、本作では気の荒い役を演じていましたよ。
周りのキャラが立っている分、バリアンの薄さが妙に際立っているというか、そもそも感情を表に出さないので何を考えているのか見えない。最初に弟を殺して逃げるシーンでは、一緒にいたワンコや助手を放置して逃げています。その後に追っ手が来たところをみると、おそらくこのワンコと助手はひどい目に遭わされてるはず。
思い出してあげてー、妻子をなくして牢屋に入れられて、その牢屋から出されて家に帰されるシーンであなたに寄り添っていたワンコを思い出してあげてー。さらに家に帰ってきて元気がないあなたを心配そうに見ていたセリフのない助手の存在も思い出してあげてー。
それから船が転覆したとき全滅してたけど、確かお供の人いたはずだよねー。その人のことも思い出してあげてー。終始無表情でボーっとしている主人公です。
とりあえずこの映画は脇を固めるおっさんたちを愛でる映画だと思います。デヴィッド・シューリスのずっとニヤニヤしながら何か食べてたとことか、もうとにかく存在感が凄いジェレミー・アイアンズとか。
でもジェレミーが出てきたときにはリーアム退場してたのが残念でならない。ジェレミーとリーアムの並びが観たい! そしてジェレミー・アイアンズといえば「仮面の男」のアラミスが好きだわー。
あとはね、オーリーとエヴァ・グリーンのカップルが全然合わなかった。エヴァ・グリーンはもっと貫禄のある野生的な男と組み合わせるとすっごく魅力溢れると思うの!
最後に、「エルサレムの価値は?」とバリアンに聞かれたときのサラディンの言葉、「なにもない(Nothing)」と答えてすぐに「すべてだ(Everything)」と。このシーンは胸にグッとくるものがありましたね。すごく重たい言葉なのですが、サラディンが軽く答えてたんですよ。この場面と、ボードゥアン4世とサラディンのお互いを尊敬している雰囲気もよかったです。
他にもいろいろと気になるキャラがいたけど、お名前がわからなくて残念。それから3時間超えているので疲れました。エドワード・ノートンのムチでシバかれたかった。ルノーが羨ましい。

PR
歴史劇
PR