魔術かっけぇ。現代版の魔術戦争って感じ。しかも出てくるワードがスピリチュアル好きには興奮するものばかり。ヒマラヤとか瞑想とかマントラとか呪文ね。
冒頭に出てくるパングボーンが自力で治した方法というのは、潜在意識を反映しているのかなとも感じました。
潜在意識とは、人の無意識は実は水面下で繋がっているといわれている心理学の理論のことです。この潜在意識に願望を植えつけることができると、現実世界へ自分の願いが伝わり、体の変化も可能だとか。スピ系の話は好きなのでなんかワクワクした。
物語は、傲慢なお医者さんが手を怪我して治す方法を模索するところから始まります。
現代の医学では対応できないことに絶望したストレンジは、藁にもすがる思いでカトマンズへ向かいます。
そこで出会ったエンシェント・ワンを師と仰ぎ、魔術を習得することで手が治るかもしれないと希望を抱くストレンジ。
ストレンジが初めて魔術に対峙するシーンは胸が熱くなります。手をクルクルすると魔方陣が表われて、盾になったり攻撃の道具になったりします。
このエンシェント・ワンね。原作ではチベット系の老師みたいですが、映画では白人のティルダ・スウィントンです。白人女性の起用には批判がありましたが、私はティルダ・スウィントンすごいハマってると感じました。
「老師に教えを請う」ってありきたりなパターンから抜け出せたし、なによりティルダ・スウィントンの独特の雰囲気は、その後の師に不信感を抱く場面への繋がりとして非常に合っています。
またティルダ・スウィントンが素敵な役者さんなんだよね。ナルニア国物語の白の魔女だったりしますが、スノーピアサーのメイソンが印象に残っています。スノーピアサーを観てからけっこう注目している女優さんです。
で、エンシェント・ワンは途中でお亡くなりになります。でもご本人は生きることを諦めた口ぶりでした。あのときに体に戻れば助かったのでしょうか?
それともストレンジにあとのことを託せると確信したから、長い長い人生を終わらせたのかもしれません。
それからカエシリウスね、今回のヴィラン。この人も素敵。目の周り黒くなって暗黒面に落ちた感じになってますが、パッと見は寝不足のクマにも見えなくもない。
そして手下も同じようにクマができているのね。みんなで魔方陣出して呪文唱えているシーンではやっぱり胸が熱くなります。かっけぇ。もうけっこういい歳ですが、本気で魔術師になりたいです。
このカエシリウスとの戦闘シーンでは街中がバッタンギッタンとグチャグチャになってスケールがドデカイ! そんな風にバッタンギッタンなってる中で、エンシェント・ワンの落ち着き払った冷静な態度はカッコ良過ぎて悶えます。
カエシリウスのキャラ好きだな。ロンドンでストレンジとマントに拘束されるシーンね、カクカクなりながらガッチリ嵌められるのね。でもとくに慌てる様子もなく、普通にストレンジの篭絡に掛かります。
ここで実はエンシェント・ワンが闇のパワーを取り込んでいることを知ってしまうストレンジ。
ま、でもストレンジは手を治したいだけなので、魔術戦争には関わらないといいます。命を助けたくて医者になったので、命を奪うことには抵抗があるのです。どれだけ傲慢でも、やっぱりお医者さまですね。
そんなストレンジを意気地なしだとモルドは責めます。このモルドはね、頭が固いんだよ。自然の摂理に背くと必ず報いが起こると信じてて、ラストで離脱します。
そしてエンディングロール後に登場して、「魔術師が多すぎるんだよ」といいながら次回作のヴィランになることを示唆して終了。続編の情報はまだ何もないですが、スムーズに制作が進めばモルドがヴィランとして登場すると思います。
それにしてもストレンジはこの映画でかなり成長したよね。冒頭ではかなりイヤミで傲慢な男だったのが、ラストの決戦では自分が何度も殺されることで地球を救おうとします。
あれって、ドルマムゥもしんどいけど、ストレンジもかなりツライよね。だって何度も殺されるんだから。
医者としてではなく、魔術師として世界を守ろうと決めたような口ぶりです。実際にエンディング後に出てきた雷さまに、地球の脅威(ロキのこと)は困ると語っていましたし。
そんなストレンジを気に入っているマントがかわいいです。ニューヨークのサンクタム(魔術師たちが地球を守っている拠点)に展示されていた浮遊マントですが、出会ってすぐにストレンジを気に入って、戦いの最中に手助けしてくれます。
ストレンジが元カノに振られたときも涙を拭ってくれていました。優しいねっ!
あとはウォンさんね。図書館の管理をしている笑わない男。ストレンジが何をいっても笑わないから融通が利かないのかと思えば、そうでもありません。
香港のサンクタムが陥落した後に、ストレンジが時間を操って周りを修復する魔術を使ったと知ったとき、自分が死んでいたことを自覚したウォンさんは、ストレンジが「掟を破り中」とかっていうと「OK!」←こんな感じでした。
それからラスト「本の注意書きはちゃんと読もうね」とかいってたシーンでウォンさん爆笑。笑いのツボが謎。
逆にストレンジを気にかけて世話焼きしてたモルドさんは、ストレンジが時間の魔術を使ったことが理に反しているというのよ。
そしてエンドロール後にパングボーンの力を取り出して元の不自由な体に戻していました。何してるんだよ! せっかく健康な体になったのに、自然に反しているとか勝手な自分の講釈を押し付けてくるとか、そんなのただのエゴじゃん、ばか。
ちなみにパングボーン役のベンジャミン・ブラットって、「デンジャラス・ビューティー」の人だよね。久しぶり!
魔術バトルは本当にカッコよくてしびれます。ぜひ映画館で観たかったです。ストレンジはMCUシリーズとしては新参のキャラクターですが、今後は「インフィニティウォー」にも出るのでどういった活躍になるのか見もの。
若干、天才で傲慢という点がトニーとかぶってますが、向こうは鉄の塊でこっちは魔術だからキャラとしてはかぶってないよね。ま、役割的にはかぶりそうな雰囲気だけど。
なんだかんだでトニーはアベンジャーズの中心人物ですし、常に先を見据えて行動しているところがストレンジとポジション的にかぶりそうに思えます。