最近めっきりドニーさんにドハマりしている真っ只中、2回目の「孫文の義士団」鑑賞です。初回(数年前)に観たときは華流の俳優さんをほとんど知らなかったのですが、改めて観ると知っている人がいっぱいいてテンション上がります。
当時はドニーさんに関しても全く意識していなかったので、映画鑑賞後にレビューブログ漁っていたら「ドニーのアクション最高!」とか「さすがドニー兄貴」などと彼に対する賞賛が溢れていたので、有名な人ナノカナーぐらいにしか思っていませんでした。今じゃすっかりドニーさんの虜です。
ストーリーは、中国を革命によって変えようとしている孫文を守るため、革命派が彼を守るため義士団を結成します。しかし、清朝は孫文を暗殺するべく、プロの集団を差し向けます。対する革命派は孫文をガードするために影武者を仕立てるのです。
そして、くじで決めた影武者には、革命派のスポンサーの息子が選ばれてしまいます。影武者の息子を守るため、集められたのはその道の手練れたち、ではなく、はっきりいって寄せ集めの集団です。
そんな集団でなんとかなるはずもなく全滅。生き残りはおっさん二人という悲惨さ。まぁ、孫文は守られたから良かったのでしょうか。ただね、邦題は「孫文の義士団」なんですがね、肝心な「孫文を守るんだ!」という人があんまりいなかったのですよ。ちなみに原題は「十月圍城」、英題は「Bodyguards and Assassins」。なんか英題すげー安っぽいと感じるのは私だけでしょうか。
ドニー・イェン扮するシェン・チョンヤンは博打ばっかりやってるクズで、最初は清朝が差し向けた暗殺集団に情報売って小金を稼いでいました。しかし、革命派のスポンサーに嫁いだ元妻(ファン・ビンビン)から、今のあなたでは娘に父親のことは話せないといわれるんですね。クズだけど娘のために決心して暗殺集団に立ち向かいます。だから別に孫文とかどうでもいいと思っているはず。
そして、アスー役のニコラス・ツェーはスポンサー家の車夫です。使用人だけど息子と仲良しで旦那さまのことも大好き。このアスーがかなり純粋で、ただただ旦那さまと息子のために義士団に入ります。彼女との仲を旦那さまに後押ししてもらって結婚するんだって喜んでいたので、死ぬとか革命とかあんまり深く考えていなかったみたいです。だからこのアスーも孫文とかどうでもいいはず。ちなみにこの時代の髪型のせいでニコラスのイケメン要素が3割ぐらい減ってます。
冒頭で、サイモン・ヤムが演じていた元将軍がいた京劇の集団も革命派でしたが、ドニーさんが情報を売ったことが原因であっさり全滅。この生き残りが娘のファン・ホン(クリス・リー)です。ファン・ホンは父親の変わりに義士団に参加するとはいってましたが、アスーから結婚式来てよと声をかけられても、「父たちを故郷に連れて帰るから無理」と断っていたあたり、命がけとは思っていなかったのかな。しかも孫文に対してもとくになんの思い入れもなさそうだったから、ファン・ホンも孫文に興味なしだと思います。
それからリウ・ユーバイというホームレスの人はレオン・ライです。なんかレオン・ライってめっちゃ色気のある人だと思ってたんですけど、この映画ではそのお色気がさっぱり消えており、小汚くなっております。最初はホームレスなので小汚いのはしょうがないのですが、スポンサーに家宝の鉄扇買い戻してもらって覚醒してからも若干小汚いままです。
そんなリウ・ユーバイは過去に父親の妻に恋をして父と愛した女性を同時に失っています。生きる屍状態なので、スポンサーに頼まれて誰を守るとも聞かずに引き受けます。過去から解放されたかったのでしょうね。だからこの人はメンバーの中で一番孫文のことどうでもいいんじゃないかな。
あとは臭豆腐のワン・フーミン(メンケ・バータル)、この人は体のデカさをスポンサーに見込まれただけです。スポンサーのことはお米貰ったりしてたからけっこう気に入っている様子。だから頼みを引き受けただけで孫文とかどうでもいいはず。ちなみに初回観たとき、「あ、チェホンマンだ!」と思っていました。ま、違うんですが。演じているメンケ・バータルさんはモンゴル族のバスケットボール選手だそうです。
こう見るとね、孫文を守るために戦ったメインの人たちは、とくに孫文になんの思い入れもなかったのですよ。しかし「孫文の義士団」なのですよ、なんじゃそら。おまけに全滅しているのですよ。でもね、なんの思い入れもないのに、誰を守るかも知らない人もいるのに、仲間のためにボロボロになってる姿は泣ける、涙が止まらない。
それぞれが絶命したシーンではテロップに名前と故郷、生まれ年と亡くなった年が流れるので、てっきり実在の人物かと思いました。というのも、なぜかドニーさんだけ故郷と生まれ年が不詳になっていたので、なんかリアルですよね。
そんなドニーさんは最初のクズっぷりから一貫して娘のために覚醒します。覚醒後は即効で暗殺者を撲殺していましたので、ドニーさんの撲殺シーンが大好きな私は大変喜びました。うほ。そして次々と暗殺者たちを始末していくのですが、途中でお着替えして銃まで持ち出します。ドニーさんだけ途中で着替えていたのですよ。あれいつのまに着替えたんだろう……。
しかし、暗殺集団の中にいる一番戦闘力が高いやつとのバトルで満身創痍になります。相手はカン・リーという方で、ベトナムの総合格闘家だそうです。この人とのバトルでボロボロになったのに、元妻の今の旦那(スポンサー)を守るため、フージュン演じるイエン・シャオグオ、暗殺集団のボスの前に立ちはだかります。
でもね、すでにボロボロなのに馬の前に飛び出して吹っ飛ばされてしまうのです。そしてお亡くなりに。スポンサーにね、「娘に渡してくれ」っていって、娘が落としていったぬいぐるみを渡すんですが、あれ渡してくれたのかな。スポンサーも息子死んじゃったからぬいぐるみの存在とか忘れてそう。
そしてフー・ジュンですよ。もうすっごく悪い顔をしているのですよ。誰がどう見ても悪い顔なんですよ。フー・ジュンはけっこう優しそうな顔立ちなのですが、この映画ではとにかく顔面から悪い相の圧がハンパないのですよ。
影武者になっているスポンサーの息子を棒でグサグサ刺し殺すシーンとかエグいですが、「やりましたよ(笑顔)」とかいいながら悦に入っている表情は完全にイってます。こわいわー。フージュンと言えば映画「レッドクリフ」の趙雲役が大好きなのですが、「孫文の義士団」ではハンパないラスボス感を漂わせまくっています。
あとね、この映画かなり豪華な出演陣が出ているのですよ。革命派のレオン・カーフェイは「愛人/ラマン」の人だし、警察のエリック・ツァンは「インファナル・アフェア」の黒社会のボスの人。そしてリウが愛した女性のミッシェル・リーは「天使の涙」でもレオン・ライと共演してて「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2」ではジョイ・ウォンの妹役でした。
で、ジャッキー・チュンが出ていたみたいですが、どこに出ていたのかサッパリ。あとで調べてみたら最初に銃撃された先生だったみたいです。全然分からなかったわー。ジャッキー・チュンは「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」の2でミッシェル・リーと良い感じになってましたね。そしてチャイニーズの3にも出ています。
それから暗殺集団の一人にシン・ユー。ファン・ホン(クリス・リー)とバトルして爆死してました。シン・ユーはカンフーハッスルの人足役ですが、最近鑑賞したドニーさんの映画でもけっこうお見かけします。
最初観たときね、全滅していくシーンが凄く悲しくて号泣しながら鑑賞していました。二回目もやっぱり号泣です。とくにシン・ユーとバトルして「親不孝をお許しください」といって爆発するクリス・リー。冒頭で父親に反発するシーンがあったけど、やっぱりお父さんを大事に思っていたのがよく分かって辛かったです。
だから未来のある若者を巻き込んだスポンサーとか息子の家庭教師にむかつきました。とくに家庭教師の最後のシーンは、コイツがどうにかしたらスポンサーの息子は死ななかったんじゃないかと思ったら腸が煮えくり返るほどむかつきます。それでも大好きな作品です。ただ悲しくなるので何回も観れない。